私の授業では基礎固めを重視します。得点力の養成と同時に、大学入学後の学問や活動が豊かになるよう、学問的本質に可能な限り誠実であるように心がけています。2023年度東大入学式の祝辞にて、グローバルファンドの馬渕俊介さんは「入学時の受験戦争からの解放感。長い受験勉強が終わって、ついに自由。」と語りました。本当にその限りでしょうか。学びがあなたを自由にしうるものであるなら、高校までの科目の学習も例外ではありません。開成高校在籍時、下校時刻を少し過ぎてからISS(国際宇宙ステーション)が上空を通過するのを観察したときや断熱圧縮の実験で発火するのを見て歓声が上がったときに、学びへのプレッシャーのなかでも純粋な好奇心に心が動かされることがあると気付いたのを覚えています。学びを単なるシンボルを獲得するための手段から解き放ち、自己や他者、生活や世界との接点を意識しながら学習することが、結果的にモチベーションや成績の向上にもつながるという経験があります。学習する側の視座に立ち、理解しやすい順に説明することや、個々の生徒さんの理解のうえでの要点をとらえる指導を行うことも特徴です。